2013年03月21日

お米料理パエリア



このブログで、ここ数回続いている飲食関係の記事。

スペイン語圏の国々では、美味しいものにありつける機会が多いので仕方ないとは思うが、

前回(3/8)のコウノトリの記事が素敵だ、などと思いながらも、

また今回、飲食に話を戻します。。



日本の主食”コメ”は、大変ニュートラルな形で食卓に登場し、

どんなおかずともマッチする八方美人的存在だが、

世界には色々なお米料理があるもので、

スペイン料理では、言わずもがな、みんなが大好きなパエリアがある。



東京は代官山に、それが美味しくイケル店がある、と友人に聞いた。

その名も、Sal y Amor。http://salyamor.com/ コメ料理が中心なArrocería。

早速仲間たちと駆けつけた。

やはりパエリアは、みんなで鍋を囲んで分け合うのが楽しい。

スタッフたちがスペインで修行していたりして、本場スペインの味を大事にしている感じがする。


IMG_1405.JPG

 ↑ 私は、左側のような大きなフライパンの形をしたパエリア鍋しか知らなかったのだが、

   右側のような、こういった少し深い形の鍋もあり。 ウサギの肉がコメと一緒に煮込んであった。

   味は文句なし!ワインがすすんで、すすんで仕方がなかった。



IMG_1413.JPG

 ↑ 太るのを気にして食べたくない夜であった。

それにしても、日本の炊飯ジャーは、世界的に見ても不思議ですごい電化製品だ、

などと、おおきくなったお腹をさすりながら、へんに感心しながら帰途についた。



ritaメンバー   luna

posted by Rita at 23:42| Comment(0) | グルメレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月08日

Que paciente!

スペインで私が住んでいたカスティージャ・イ・レオン地方の大学町ではcigüeñaコウノトリをよく見かけた。日本でも知らない人はいないが、あまり身近な鳥とはいえない。白い体に赤く長い嘴と細い脚をした鷺のような鳥だ。
この鳥が街に点在するイグレシアの塔などに、大人でも一抱えはあろうかという巣を作り、ワッサワッサと羽ばたきながら降りるのをよく見かけた。

ある日、スペイン人の友人と歩いていると、ほら、あそこにコウノトリの巣があるよ!と言われた。彼女が指差す先には、巣の中に座りモゾモゾと体を動かしている大きな鳥の白い姿がチラリと見えた。卵を温めているんだよ、と友人は教えてくれた。

まもなく、住むところを探していた私は、人のつてで大学の守衛一家に間借りできそうな部屋を見せてもらうことになった。案内された古い部屋には感じのよい大きな出窓があり、私はすぐ気にいった。白と水色のタイル張りの出窓に登って腰掛け、外を眺めると、近所のイグレシアの塔が近くに見えた。よく見るとそこには大きな巣があり、中にコウノトリが座っているではないか。
私はなんて運のよい眺めだろうと嬉しくなり、この部屋を借りることにした。
引っ越しの翌朝、窓を開けて見ると、昨日と同じく巣の中に座っているコウノトリが見えた。
授業を終え、帰宅して外を見ると今朝と寸分違わぬ光景がみえた。
家主の息子のホセ・ルイスが家の鍵を届けに来た。彼は法学部の大学院生でとても勉強家で博識だと以前家主が自慢気に話していた。部屋はどう?と聞いてくれたので、とても快適です、コウノトリの巣が見えるしね、と答えた。ああ、あれね、ホセ・ルイスは出窓の外を見て言った。ずっと動かずああして卵を抱いているのさ。ふーん、我慢強いのね、私は感心して言った。そうさ、どれほど我慢強いかそのうちもっと分かるよ、“ya verás.”とホセ・ルイスは意味ありげに笑いながら眼鏡に触った。
翌朝は雨だった。授業が休みの私は部屋で過ごしていた。雨足が強まってきたので、あの鳥と卵はどうしたろうと心配になり何度も窓の外をみたが、コウノトリは巣の中にうずくまり微動だにしない。それにしてもなんて我慢強い鳥だろう。きっと大切な卵を孵すために、親鳥はああして体を張っているに違いない。それから何日か観察していたが、動く様子ももちろん夜の間に飛び立っている様子もない。私はほとんど感動して、ホセ・ルイスの言った通りだと思った。

その頃私は、大学で外国人学生用の文法のブラッシュアップクラスも受講していた。担当講師は家主一家の親戚でチャロという女性で家にもよく出入りしていた。希望者は毎週自由なテーマで作文を書き、講師に添削してもらえることになっていたので、翌週私は件のコウノトリについて書くことにした。
お世話になっている守衛一家の部屋の窓から、コウノトリの巣が見えること、中には母鳥がおり、雨の日も風の日もずっと動かず座り続けて卵を温めていること、私はすぐにひとつのことを諦めてしまう性格だが、この感心な鳥からは我慢強さを学んだ気がする…。コウノトリを見ながら書き終わり、我ながらよい作文ができたものだと満足だった。

しかし、次の週に返却された作文に書かれたコメントを見て私は愕然とした。
アキコ
コウノトリの忍耐強さに心を動かされた様子がとてもよく書けています。
しかしながら、残念なお知らせをせねばなりません。
あの塔のコウノトリはmuñeco(置物)です。今後も動くことはないでしょう。
他の鳥を誘うために巣の中に置かれているのです。
本当に残念です。

チャロが笑いを噛み殺しながら、または同僚に私の作文を見せてみんなでゲラゲラ笑いながらコメントを書いている様子が目に浮かんだ。
私は家主の息子のあの意味ありげな笑いを思い出していた。
「どれほど我慢強いかそのうちもっと分かるよ、“ya verás.”」

翌日、帰宅したホセ・ルイスと玄関で出くわした。彼は私を見るなり体をふたつに折って大笑いした。スペイン人は概ねおしゃべりだ。あの恥ずかしい作文の話を既にチャロから聞いたに違いない。私は何故教えてくれなかったの!恥かいたでしょ!と怒るつもりだったが、その気も失せてしまった。
まさか信じてるとはね!普通は見れば分かるでしょう?さも可笑しそうに笑い続ける彼を見ていたら、私もなんだか可笑しくなってきた。
悪いことしたね。コーヒーご馳走するよ。マイテ(彼の恋人)が来るまで暇だから、と言われ家の下のバルで一緒にお茶をした。
彼は郷土や伝統についてもよく勉強をしており、私が知りたかった闘牛のことを、とても分かりやすく説明してくれた。ただ熱が入り早口はさらに早く、解説も詳細になり、外国人の私はあいづちを打つのが精いっぱいになった。
私は我慢強くじっと動かず友人の講義を聞いていた。
自分はあのコウノトリみたいだと思いながら。

宇尾 章子
posted by Rita at 11:46| Comment(0) | ブログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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