2012年05月27日

スペインと新大陸が出会ったとき


今日は、今月のマイ電車のお供だった書籍、
ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を紹介します!

約20年前に発表されていて、すでに「古典」扱いですが、最近文庫版が出版されました。
タイトルですでに十分ごついですが、内容もかなりの骨太作品です(ピューリッツァー賞も受賞しています)。

私の電車通勤は片道10分なこともあり、読破に1か月かかってしまいました。。。 

gungermssteel.jpg




本の内容を超簡単にいうと、世界中に広がる「格差」がなぜうまれたのかを、
13000年の人類史をひも解くことで明らかにする、というものです。

スペイン語圏でいうと、なぜスペインは新大陸(南北アメリカ大陸)を征服できたのか、
なぜにインカやアステカの民はスペインを征服できなかったのか、についてフォーカスしています。




インカ帝国とアステカ帝国が、スペイン人のピサロとコルテスにそれぞれ征服されたことは、
学校の教科書でも習いましたよね。
ピサロもコルテスも数百名で、数万人規模の新大陸の帝国軍をアッサリと征服できた理由は色々語られていますが、スペイン人が銃や鉄器を使用し、馬を操り、新大陸人に免疫のない病原菌をうつしていったことが、征服の大きな要因であったことは間違いないです。

この本の面白いところは、なぜピサロが鉄、銃器、病原菌、馬、を持っていて、
アタワルパ(インカの王)は持っていなかったのかを、
なんとまあクロマニヨン人の時代から追っていくところです(マジで長いです・・・)。 


さてさて、なが〜いので、バッサリと結論だけ要約すると、
@新大陸は縦長だけど、ユーラシア大陸は横長だった! 
Aユーラシア大陸にはたまたま人間が利用可能な動植物が多かった!!

だからユーラシア大陸は有利だったそうです。 

@についてですが、緯度が違うと環境が大分かわりますよね。
新大陸は特に縦に細長いので、人間、動植物が移住するのは大変なのです。
一方ユーラシア大陸はそういった障害が少なく、伝播スピードが速かったため、多くの社会が発生しました。

Aはもっと重要で、「銃・病原菌・鉄」を保有するためには「定住・大規模社会化」が重要で、
そのためには「動物の家畜化と植物の栽培化」が必須だというのです。

知りませんでしたが、現在の大型家畜は世界で14種しかなく、
新大陸原産は1種のみ(リャマ・アルパカ!!)だけで、あとはすべてユーラシア大陸原産だそうです。
アフリカ原産はゼロだそうで、厳しいですね! 

また、中南米原産の植物といえばトウモロコシですが、こいつも昔は小指くらいの大きさしかなかったですが、相当の時間をかけて今の形に発達させた経緯があります。
ユーラシア原産の小麦・オオムギなどは10000年前からあまり変わっていないようです。


ユーラシア大陸の環境がいかに新大陸より有利であったかという、いわゆる環境決定論ですが、
俯瞰的視点を与えてくれるので、とにかく面白いです。通勤時間が長い人に、お勧めです(笑)。 



ピサロ、コルテスから時は流れ、21世紀は随分様変わりしました。 
栄光の時代を過ごしたスペイン、ポルトガルは没落の一途をたどっており、
新大陸ではブラジルなどの新興国が勃興しています。

(ダイアモンドの言う)格差の原因だった、環境の違いを我々は技術で克服しつつあるわけで、
100年後の世界地図が一変していてもなんら不思議はないです。
アフリカや新大陸の開発途上国と呼ばれる国々が世界を牛耳ることだって、ありえますよね。 



たまには(といいつつ一ヶ月ずっとでしたが)、こういうこと考えて電車に乗るのもいいもんです。

sasaki
posted by Rita at 00:02| Comment(0) | 芸術・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月10日

SevillaのSemana Santa

今年のSemana Santa(聖週間)が先週48日に終わりました。

バケーションシーズンなので、日本へ旅行に来たスペインや南米諸国の友人・知人をお迎えしたという方々も多かったのではないでしょうか。

キリストの受難の主日から復活までの一週間を懐古し祝う、カトリック信者にとっては最も重要な行事。国によって、また地域によっても聖行進(プロセシオン)の形態は異なるようですが、スペイン南部の都市、Sevilla(セビージャ、セビリア)のSemana Santaはその豪華さ、規模の大きさで非常に有名です。

今年のSemana Santa de Sevillaは雨に泣かされましたが、一台はキリストの受難の一場面を模した像、もう一台にマリア像を乗せた約1.5トンのpaso(パソ)と呼ばれる賢覧豪華に装飾された山車を、


Semana santa 2012 040.JPG
Semana santa 2012 (2).jpg

costaleros(コスタレロス)と呼ばれる40名程度の屈強の男達が交代しながらその下で
肩の上に担ぎ、一歩一歩摺り足で歩みを進め、それぞれ決められたルートと時間で
昼夜問わず厳かに行進します。長いものでは10時間以上に及ぶものも!!

Semana santa 2012 (3).jpg

その前後をnazarenos(ナサレノス)と呼ばれる悔悟者の列
(裸足でその行程に挑む信心深い信者もいます)、

Nazaleno de sevilla 2012 (1).jpg

bandaと呼ばれる音楽隊がついて歩くのですが、哀愁に満ちた独特の旋律が魅力的で、そのリズムに合わせpaso上のキリスト、マリア像に至るまで一糸乱れず行進する姿は圧巻です。

http://www.youtube.com/watch?v=qx1kVIclcdo



Sevillaでは、毎年この頃になると、デパートのCD販売コーナーにSemana Santa
Banda CDDVD試聴コーナーが大々的に設けられる程。

その熱狂ぶりはなかなかのもので、bandaの練習はSemana Santaの終わったその翌週から再びその後の一年のために始まり、一年を通して町の至るところから、夕方になるとマイナーコードのトランペットの音色や小太鼓の練習の音が聞こえてきます。本番が近づくと、costalerosの練習も更に気合が入り、真夜中までその掛け声、行進の練習は続きます。

Nazarenosの数も桁違いです。Sevillaでも12を争う人気の教会では何と3000人近いnazarenosが随行するため、本番当日教会から全員が出てくるだけでも二時間以上かかってしまいます。

それでもお目当てのキリスト像やマリア像が担がれて出てくると、人々は歓喜し、マリア像には「guapa!」と掛け声をかけ、その晴れ姿を見るや否や感極まって涙。Bandaがその登場を劇的に盛り上げ、また涙。

そして、人々の感動と共に、通り道に沿ったバルコニーからpasoの天蓋に向かって降り注ぐ色とりどりの薔薇の花びらや通り道に漂う独特のお香の香り。

Sevillaの人々にとって、Semana Santaは宗教的に重要なイベントでもありますが、

目から、鼻から、そして耳からと、五感で春の到来を感じさせてくれる季節感溢れる
一週間でもあるのです。

SS 2012 018.redimensionado.JPG

*悪天候の中、写真を撮影・提供に協力してくれたSevillaの友人達に

心から感謝します!



<編集:MUU

posted by Rita at 22:56| Comment(0) | 芸術・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月25日

映画『フラメンコ・フラメンコ』に見る生命の旅


晴れ今話題のカルロス・サウラ監督作品『フラメンコ・フラメンコ』を見て参りました晴れ

フラメンコの何たるかを知らずとも、音楽と踊り、絵画を思わせる芸術的な画面展開で

十分に楽しめる作品に仕上がっていますが、フラメンコを取り巻くスペインの文化的な

背景(セマナ・サンタ、コプラ 等)の知識が少しあるだけでも、また一味違った醍醐味

が見えてくること必至ですひらめき

 

本作は「生命の旅と光」をテーマに、フラメンコの特徴的なパロ(曲種)を効果的に使って

<誕生>から<死期>、そして<復活>に至る人の一生を光や色調と共に表現しているそう

ですが、同時に1995年公開の同監督作品『フラメンコ』で、祖父の故・ファルーコと共に

圧巻のソレア(孤独の意)を踊った幼いファルキートが、本作ではすっかり成長した姿で余裕

さえも感じる爽やかなバイレ(踊り)を披露。彼の末弟カルペータも大人顔負けの迫力で登場

する他、やはり『フラメンコ』に出演し、一昨年惜しまれつつ他界した名カンタオール

(男性フラメンコ歌手)エンリケ・モレンテの愛娘、エストレージャ・モレンテの艶姿等、

一人のアーティストの成長や世代交代という、別の意味での「生命の旅」も垣間見られます。

 

Soleá (Flamenco: Cante: el Chocolate, Baile: Manuela Carrasco, Farruco, Farruquito)

http://www.youtube.com/watch?v=lFqQDkXBZrM

Seguiriyas (Flamenco: Cante: Enrique Morente)

http://www.youtube.com/watch?v=JwezqSzpkak

 

尚、今回登場するアルティスタの多くは、ポスターの顔にもなったサラ・バラスをはじめ、

現代フラメンコシーンを代表する錚々たる顔ぶれ。現在のフラメンコは、様々なジャンル

との融合を重ね、より自由でモダンなスタイルへと進化してきましたが、対照的に『フラメンコ』

ではもっと伝統的なフラメンコが堪能できます。

 

例えば、同作の冒頭を飾ったブレリア・デ・ヘレス

迫力のカンテ(歌)でトップを切る唯一無二のカンタオーラ(女性フラメンコ歌手)

パケーラ・デ・ヘレス等、フラメンコの黄金期を牽引してきた多くの伝説的フラメンコ

アーティストがこの10年で他界しました。

失われたものの大きさは計り知れませんが、そうした時代の移り変わりも踏まえ、

フラメンコ界の「今」を伝える作品、それが本作『フラメンコ・フラメンコ』なのです。

 

東京では渋谷のBunkamuraル・シネマにて3月中旬迄公開、全国の劇場でも公開中

又は随時公開予定です。(詳細は下記『フラメンコ・フラメンコ』公式サイト「劇場情報」

にてご確認ください)

因みに、ル・シネマのサービスデ―はネット予約で軒並み満席となっていましたので事前確認

した方がベター。

 

人生、何がきっかけとなり、どの様にして新しい扉が開かれていくかわからないものです。

この記事を読んでほんの少しでも心惹かれるものを感じた方、どうか迷わずご覧ください!!

 

*『フラメンコ・フラメンコ』公式サイト

http://www.flamenco-flamenco.com/

(編集MUU)


posted by Rita at 22:56| Comment(0) | 芸術・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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