2011年10月20日

チリよ、お前が黙っている時が好きだ

ジャーナリスト、そして翻訳者である伊高浩昭さんから、素敵な記事を書いていただきました音譜
ネルーダの詩をもっと読みたくなりますニコニコ

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チリが生んだノーベル文学賞詩人パブロ・ネルーダ(1904〜73)は、バルパライソ南方の太平洋岸イズラネグラの邸宅の庭に、愛妻マティルデとともに眠っている。私は、この邸宅のほか、バルパライソにある邸宅ラ・セバスティアーナ、首都サンティアゴにある邸宅ラ・チャスコーナを訪れた。いずれも「パブロ・ネルーダ財団」が管理するムセオ(記念館)になっている。私が大好きなこの詩人を偲ぶ縁(よすが)であり、詩集や伝記を買うことができる。

この詩人が残した膨大な作品の中に、初期のものとして「20の愛の詩と、一つの絶望の歌」がある。ネルーダは、その一篇をもじって口にするのを好んでいた。私は1970年代初め、アジェンデ社会主義政権時代のチリで、ネルーダが肉声でそれを朗読するのをラジオで聴いた。



  チリよ、お前が黙っている時が好きだ
   いないみたいだからだ
  チリよ、お前が眠っている時が好きだ
   遠くにいるみたいだからだ
  チリよ、お前が遠くにいる時が好きだ
   心の中にいるからだ


この詩の「チリ」を、故郷や恋人の名前に置き換えて朗読してみたらいかがだろう。

私は、ラ米文化専門の月刊誌「ラティーナ」の11月号(10月20日発行)に、アジェンデ大統領とネルーダの「死の謎」について書いた。ネルーダ夫妻は1952年、地中海のイタリア領カプリ島で半年余り亡命生活を送った。私は今年3月、ナポリ沖のこの島を訪ね、夫妻が住んだ邸宅を探し当てた。この逸話も11月号の記事に盛り込んだ。

夫妻のカプリ島での暮らしぶりは、チリ人作家アントニオ・スカールメタの小説『ネルーダの郵便配達夫』に書かれ、それがイタリア映画『イル・ポスティーノ(郵便配達夫)』になった。映画では、ネルーダ夫妻が見つめ合いながらタンゴを踊る場面が素晴らしい。ネルーダはきっと、あの詩の「チリ」を「マティルデ」に置き換えて、何度も彼女の前で詠ったことだろう。
  

(2011年10月19日 伊高浩昭執筆)






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2011年09月01日

トマト祭り

スペイン・ブニョールで8月31日、毎年恒例の「トマト祭り」が行われました。用意されたトマトは120トン。ロイター通信によると、町はこの日、約4万人であふれかえったとのこと。

過去の投稿ですが、トマト祭りの様子はこんな感じです↓



お祭りの最後にはみんなのカラダも洗ってくれるのですね↓



このお祭りの観光ツアーなどもあるようで、日本人でも参加した方は結構いるのだと思います。
動画の中ではみんなとっても楽しそうだけど、私は遠慮しておきます。(^_^;)

以上、RITAメンバーの神田でした!



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2011年08月01日

「サグラダ・ファミリアの報酬は人類の希望」 ―ソーシャル・ビジネス・フォーラムin福岡―(3)

みなさん、こんにちは!RITAの児玉です。これまでお届けした2回の記事では、外尾悦郎氏が参加したフォーラムの趣旨と、ソーシャル・ビジネスとは何か、自然災害やサグラダ・ファミリアとの結びつきを紹介してきました。シリーズ最終回となる今回は、外尾氏の考える「幸せとは」など、心に残る名言集をお届けします。大震災後を生きる私たちの未来を考えるヒントになればと思います。以下、児玉の友人K.K.氏(諫早市在住)のレポートをどうぞ!



幸せとは、人の心の中に住まうこと


今回の大災害のような危機を日本人が乗り越えるために必要なものを外尾氏は「人間のエッセンス」という言葉で表現します。

「科学や経済や芸術だけでは人間は生きてはこられませんでした。今までも決して完璧な時代というものはなかったけれど、我々は人間のエッセンスで困難な時代も乗り越えてきました。エッセンスというのは言い換えれば、人間の持つ本能や、慈悲の心、愛情、そういったもののことです」

しかし日本人の「エッセンス」は今非常に弱まっている、それは誰しも思い当たるのではないでしょうか。外尾氏は「日本人は精神の柱を失っている」と言います。

パネリストのひとりで九州ソーシャル・ビジネス促進協議会の石田達也氏によれば、実は日本にも古くから近江商人の「売り手良し、買い手良し、世間良し」に見られるようなソーシャル・ビジネスに近い考え方があったと言います。今ユヌス博士のソーシャル・ビジネスは日本人が「エッセンス」を呼び覚ますために必要な、失ってしまった精神の柱となるものである、外尾氏もそう力を込めます。


一方で外尾氏は聴衆の肩の力を抜くことも忘れません。

「スペインでは100歳まで生きる秘訣が10個ほどあると言われています。その中のひとつを紹介しましょう。それは、人生を楽観視させてくれる仕事と、ともだちを持つことです」

この言葉には大いに頷く方が会場にもたくさんいらっしゃいました。”All that matters is love and work.” といったフロイトの言葉にも通じるものがあります。どれだけ稼いでいても悲観的にしか物事を捉えられない人は、やはり幸せな人生を歩んでいるとは言えません。


そして今回私が一番紹介したかったのは、外尾氏が独自の幸福論を披露した次の言葉です。

「いいですか皆さん、今から本当のことを言います。幸せとは、自分の心の中に遠くにいる他人が住まい、また遠くにいる他人の心の中に自分が住まう、ということなのです。多くの人の心に住まうことで、人はより多くの幸せを得ることができるのです」

この言葉に会場からは自然と拍手が湧き起こりました。


最後に外尾氏は、聴衆に次のようなメッセージを送ってくれました。これは被災地から離れてはいるけれども連日飛び込んでくるニュースに心を痛め、何か役に立つことをしたい、そう願っている多くの日本人の心にも響くのではないかと思います。

「今回の大震災のような災害が起こると、みな自分の無力さを感じます。みなさんも今無力さを実感しているのではないでしょうか。でも、それでいい。自分が科学者とか経済学者とか芸術家とか、そういった肩書を取っ払って、ひとりの無力な人間と分かったところから出発して、そこから発見したこと、それが大事なことなのです」


 この拙いレポートが、外尾氏の想いを損なわず、会場にいて私が感じた感動の何割かでも皆様にお伝えすることに成功していればと念じてやみません。ありがとうございました。



みなさん、いかがでしたか? 日本を離れて33年が経つ外尾氏。「自分に何ができるか」を考え抜いた末の発言と行動ではないかと思います。読者のみなさんの「幸せ」観はそれぞれ違うかもしれませんが、外尾氏の言葉が少しでも心に響き、励みになればと思います。私も、一人の人間としてできることを考えながら、今を精一杯生きていきたいと感じました。

最後に、K.K.くん、充実のレポートをありがとうございました!みなさんも、今後ともよろしくお願い致します。(編集:児玉)










posted by Rita at 08:14| Comment(0) | 芸術・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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